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「いいけど・・・後でお前等の初体験も聞かせろよな。 ・・・俺が最初にセックスしたのは高一の時だな。 丁度人成さんに振られちゃって少しやけになってたってものあってさ、そん時の担任がやけに俺に優しくするわけよ。んで俺頭ワリーから補習授業受けなきゃならなくなって、気付いたら受けんの俺だけだったの。 そしたらその担任がその補習中にいきなりキスしてきてさー。 マジ焦ったぜ、だってそれって俺がホモだってばれてたって事だかんな。 俺がビックリしてるとそいつが告ってきてさ、「川波、俺はお前が好きになっちまった」って。」
そう言うと、もう一本煙草に火を付けた。
「悠斗・・・その担任と・・・?」
「ああ、俺は別に担任の事、好きでも嫌いでもなかったんだけどさー、あん時は・・・まあ、これ逃したらいつセックス出来るかわかんねーなーと思って・・・何せゲイだから。 その日のウチにそいつの家に連れて行かれてやっちまったってわけ。 そしたらさー、もうすげーの。」
「凄いって何が?」
「血だよ、血! ほら、女も初めての時って処女膜が切れて血が出るってゆーじゃん? 俺は見たことないけど、絶対にそれよりもすげー血だぜ、あれは。 一応せんせーも気を遣って潤滑油使ったんだけどな、めちゃくちゃ痛くて身体がちぎれるかと思った。 終わってからも身体はズキズキして動けねーし、血は大量に出るし・・・。 ま、そんなんで俺の初体験は痛いだけだったな。」
ふーっと煙を吐いて一息つく。
「そ・・・それで、そいつとはどうなったんだ?」
「ん? 俺が二年になるまで担任とは続いてた。 いやー、そーしてっと俺の成績上げてくれたからさ。 今考えるとすっげー打算的だったよな。 それに痛いのも慣れてきてたし・・・色々俺を開発したものそいつ。 結局最後まで俺は好きにはなれなかったけどさ、でも、身体の相性は悪くなかったな。 そんでせんせーと別れた後は・・・。」
そこまで言うと2人を見て悠斗は
「やっぱ気持ちわりー?」
と少し自嘲的に笑って2人を見比べた。
石田はどちらかと言うと感心している。
「いや・・・悠斗って前から思ってたけど、何かすげー経験してるよな・・・。」
「そうかー? 別にゲイってだけで他はノンケとかわんねーと思うけどな。」
「それが一番すげーっての。」
「はは・・・そう言われりゃそうだな。」
悠斗は美菜が皿に盛ってくれた焼きうどんを頬張る。
「あーあ、冷めてるよ・・・。 んじゃ、石田の初体験教えてもらおーじゃねーか。」
石田はゲホッと空咳をして煙草を吸って少しだけ緊張しているのが解る。
美菜の方に向き、
「言っていいか?」
と聞くと、美菜は首を縦に振って
「そんなの気にしないよー。 私も聞きたい。」
とあっけらかんと言う。
「あ・・・そう・・・、あー・・・俺の初体験はなー、中3の時。」
「げっ、俺より早ーじゃん。」
悠斗はちょっぴり敗北感を味わった。
「いや、でもなー、名前も知らない人だったんだよな・・・っつーかナンパで上手い具合に引っかかってきた女子大生が相手だったんだけどよー、こっちは純情な中学生だろ?」
「純情な奴がナンパするか?」
悠斗がツッコミを入れた。
「ほっとけっ。 で、相手はお姉様だろ。 俺焦っちゃってなかなか勃たなくってさー、30分くらい1人で頑張ってやっと出来たんだよなー。 その人には呆れられるわ情けないやらで俺の初体験はあんま思い出したくねーんだよ。」
石田はその時の光景を浮かべて両手で頭を抱え込んで落ち込んでいる。
「そりゃしょーがねーじゃん、そんなモンじゃねーの? 最初なんて。」
「そ・・・そうかな? ちょっと安心したかも・・・あんまりこーゆー事人に話したことねーから・・・。」
石田はほっとしてもう氷も溶けてしまった梅サワーを一気に飲んだ。
「じゃ、次は・・・」
悠斗と石田は同時に美菜の方へ顔を向けた。
美菜は油断をしていたらしく2人に見つめられて目をぱちくりさせている。
「え・・・? 私も言うの・・・?」
「あたりめーじゃん! 俺たちが恥を忍んでここまで言ったんだからお前も言えよ。」
石田が美菜を促している。
「マジー? でも私のはめっちゃ普通だよー。 高2の時に付き合ってた先輩とね。 凄く好きだったんだよね・・・だからやっぱ痛かったけど嬉しかったなぁ。」
恥ずかしそうに話す美菜に石田はむうっとした。
「そうかよ。 そんなに好きだったのかよ。」
「やだー、何いじけてんの? ばっかねー、今は石田くんのが好きに決まってるでしょ。」
あははと笑いながら石田の肩をバシッっと叩いた。
「ね、普通過ぎてつまんないでしょ?」
「いや、俺は羨ましいよ。」
悠斗がぼそっと言った言葉の意味が美菜には解らなかった。
「えー、どこが?」
「だって好きな奴と出来たんだろ? 絶対にその方が後悔しないし、いい想い出になるよ。 何歳で初体験したなんてかんけーない・・・俺なんか今までそりゃ数え切れない奴とセックスしたけど、後悔のしっぱなしなんだぜ。」
悠斗は目をつぶってこれまでの自分の事を考えていた。
ーあの時・・・人成さんとやってたら、後悔しなかったのかな・・・?ありえねーけどさ。・・・夏紀さんは初めての相手が俺で後悔してない?夏紀さん・・・すっげー逢いたいよ・・・逢いたい・・・。
「これで俺たちは秘密を共有した者同士、固い絆で結ばれたわけだな。」
「何それー? 大げさな。」
石田の言葉に美菜は笑って言った。
「うるせー、あれ? 悠斗何か相談したいことがあるって言ってたよな?」
言われて悠斗は我に返った。
「ああ、美菜もいるなら丁度いいや・・・お前等ってさー、付き合ってどれくらいだっけ?」
「えーっと・・・8ヶ月くらいだっけ・・・?」
石田は美菜の方へ顔を向けて訊く。
「10ヶ月! 忘れないでよー。」
ぷぅっと美菜がふくれる。
「わりー、わりー。 で、それが何?」
「う〜ん・・・お前等どれくらいの割合でセックスしてんのかなーって思ってさ。」
悠斗が質問すると、2人は同時に硬直して、美菜が赤面して文句を言ってきた。

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