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「いきなり何言い出すのよっ。 乙女の前でっ!」
「は〜? 乙女〜? 良く言うよ。」
悠斗は今更という顔をする。
「何よーっ!」
「乙女じゃねーだろ? 女だろ?」
「・・・・・・。」
2人は呆気にとられて悠斗の顔を見つめた。
「? 俺、何か変な事言った?」
「・・・お前ってさー、たまにすげー事言うよな。」
石田はやっと口が開く事が出来た。
「へ? そうか?」
「そーだよ、川波くんてゲイのくせに女心掴む上手いんだよね。」
美菜は妙に感心している。
「マジ?」
「ウチの科にも川波くんに惚れてる子、結構いるんだよー。」
「本当かよ? ちくしょう、何で俺じゃなくて悠斗なんだよ。」
石田はふてくされて吸いかけの煙草を灰皿に捨てて悠斗を睨む。
悠斗はにやりとしながら箸を遊ばせている。
「俺も残念だ。 ま、女ってのはゲイに興味あるからな、その所為じゃねーの? ・・・話逸れてるけど、さっきの教えてくれねー?」
「ま、ここまで腹割って話してんだからいいか・・・。 あー・・・大体月2位かなー、な、そうだよな? 美菜。」
「・・・・・・。」
美菜は顔を赤くして石田とは反対の方に向いてしまった。
「いいじゃんか、もう。 で、悠斗はどうなんだよ?」
悠斗は暫く黙って煙を出していたが、決心したように口を開いた。
「俺って・・・もしかしてすげー性欲強いかも・・・。」
「はあ?」
「だってさー、毎週一回逢って、必ずセックスするしさー、でも本当は毎日でもしたいんだよな・・・。」
「・・・・・・それって・・・お前・・・ただのノロケにしか俺には聞こえねーぞ。」
石田はため息をついて悠斗を上目遣いに見る。
「いや・・・そーゆーんじゃなくてさ・・・なんつーか・・・気持ちで結ばれたいってゆーか・・・。 精神的にもちゃんとパートナーとしてやっていけるのかな?って考えちゃって・・・。」
「川波くんて色々考えてるよね。 まだ20歳なのに・・・。」
美菜は悠斗の話には耳を傾けて意外そうに言った。
「そんなことねーよ。 そう思えたのって夏紀さんと会えたからだし。 それまでは相手なんか自分が気持ちよけりゃ誰だっていいや、位に思ってたしさ。 そうだな・・・夏紀さんて超が付くくらい真面目なんだよ、今までの奴と全然違う。 俺の事、ちゃんとセックスの対象じゃなく見てくれてさ、それでも好きになってくれたんだ。 外見とかじゃなく「俺」を見てくれた・・・。」
悠斗は夏紀を浮かべて微笑んでいる。
「俺もお前のこと見てるぞ。」
「バカ、そりゃダチとしてだろ? 全然違うよ。」
「どう違うんだ?」
「石田が美菜を見るのと、俺が美菜を見るくらい違うよ。」
「あ、そうか。」
納得した様だ。
「だから・・・俺ってばマジなんだよ。 ・・・怖いんだ、情けねーけどさ、両想いって初めてだから・・・。」
「えっ? 初めて?」
これには石田も美菜も驚いた。
「そ、俺が好きになったのって人成さんと夏紀さんだけ。 人成さんには振られちゃったし、どうしていいかわかんねー・・・。 俺ってセックスばっかやってたからそれ以外に相手を喜ばせる方法がわかんねーんだ・・・。」
それを聞いていた美菜が反論する。
「それって、おかしいよ。」
言われて悠斗は美菜の方に下を向けていた顔を上げた。
「おかしい?」
「そうだよ。 恋人ってどっちかが奉仕するもんじゃないでしょ? お互いを大切に思ってれば解るはずだよ。 川波くんだってエッチ以外に嬉しかった事っていっぱいあるでしょ?」
そう言われて悠斗は記憶を辿ってみた。
悠斗の為に料理をしてくれた事、優しく肩を抱いてくれた事、周りの目より自分を優先させて激しくキスをした事、そしてこの前から「悠斗くん」ではなく「悠斗」に昇格した事・・・。
ー本当だ・・・夏紀さんは俺にこんなに愛をくれてるじゃん・・・。
「ごめん・・・そうだな・・・美菜の言うとおりだ・・・。」
美菜はにっこり笑った。
「川波くんなら大丈夫だよ。 今、すっごいいい顔してるよ。 川波くんがゲイじゃなかったら私も惚れちゃってたかもね。」
「何ぃ!?」
石田はぎょっとして2人が見つめ合ってる間に割り込んだ。
「俺も〜、ノンケだったら美菜と付き合ってたぜ〜。」
そう言って美菜の頬に軽くキスをした。
「悠斗〜!てめー何やってんだよ!?」
石田は思わず悠斗のTシャツに掴みかかる。
「ああ、石田がゲイだったらお前とも付き合ってるぜ〜。」
と言って今度は石田の頬にキスをする。
「ぎゃー、俺はホモじゃねー!!」
パニックを起こしている石田を見て、悠斗と美菜は大笑いをした。
「あははー、お前等サイコーのダチだよ。」
「こんな事しやがって、信じらんねー。」
悠斗がキスした所を手で拭いながら石田は疑わしげな視線を悠斗に向ける。
「マジだってば、俺、お前等のこと親友だと思ってるからな。 これも俺の中では初めてだかんな。」
少しだけ真剣な顔をして2人を交互に見ながら悠斗は照れて言った。
「お前って・・・恥ずかしい奴・・・。」
石田はちょっぴり赤面している。
「いいだろ? たまには。 じゃ、俺もう帰るわ、邪魔したな。」
悠斗は立ち上がって手を振りながらびっしり埋まっている人をかき分けて店を後にした。
「川波くんていい人だよね・・・。」
悠斗の後ろ姿を見送っていた美菜がぽつりと言った。
「ああ、俺の親友だからな。 ・・・ってあいつっ! 金払ってねーぞ。」
美菜がプッと吹き出す。
「しっかりしてるねぇ、そーゆーとこ。 ま、いいじゃん石田くんの奢りって事で。」
「ちょっと待て! ああっ! 一万しかねーよっ。 ホテル代が〜っ 悠斗の奴、何が親友だっ。 月曜日に上乗せして絶対払わせてやる〜! 美菜〜ホテル代貸してくれ〜。」


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