はまるからだ
NO.3


「なあ江藤、フェラってくれねー?」
三田がまたもやアホなセリフを吐きやがる。
「はあ? んなキモいこと出来っか! 彼女にやってもらえ。」
冗談じゃない。
俺が何でこいつのペニスをしゃぶらなきゃなんねーんだよ。
想像しただけで吐きそうになった。 おえっ。
「あいつ、やってくんねーんだよ。」
マジで?マジで? 勝ったな!
俺の彼女は旨そうにパクついてくれる。
めちゃくちゃ気持ちいい。 これぞ男の醍醐味。
そうか〜、三田の彼女はやってくれねーのか、残念だな。
入れてる時とはまた違う、もう一つの快感を知らないなんて、セックスの喜びが半減してるようなもんだ。
優越感に浸っていると、いきなり三田の指が侵入してきた。
「いてっ! てめー、入れるとかちゃんと言えよ!」
俺が三田を睨むとムッとしている。
「うるせー、お前、今俺のこと馬鹿にしてただろ?」
「してねーよ。」
嘘、してた。 鋭い。
「ばれてんだよ。 チッ、いつもよりスピードアップしてやる。」
奴は人差し指をマジでいつもより早く出したり入れたりしている。
「・・・お・・・おいっ・・・やめっ」
俺は息苦しくなってきて、声を出さざる得なくなった。
「んあ・・・っ・・・あ・・・んっ」
彼女には絶対に知られたくない、三田だけが知ってる俺の声。
秘密っていうのはそれだけで淫らな響きを持っている気がする。
三田しか知らない、俺の一番の性感帯。
まさか彼女に「俺のケツに指突っ込んでくれ」なんて言えない。
言ったら最後、ジ・エンド。 それでお終い。
俺は彼女に惚れてるから死んでも言わないけどな。
三田は右手の指を俺の中に入れて、左手で俺を扱いている。
器用な奴だ。
「・・・ああっ・・・も・・・もう・・・」
俺は奴のダブル攻撃にもうどうにかなりそうになっていた。
呼吸も乱れている。
「ちゃんと言ってみろよ。」
三田がさっきのお返しとばかりにやなことを言う。
くやしいから自分で動かそうにも前の方もこいつに捕まれて八方塞がりになっている。
むかつくけど、どうしょうもない。
「・・・入れろ・・・」
三田のにんまりした顔が見える。
その馬鹿ヅラどうにかしろっつーの。
「後ろ向けよ、入れるぜ。」
俺は四つん這いになって三田を待つ。
ちょっと情けない姿じゃないか? これって・・・。
奴は手をベロ〜ンと舐めて、それを自分自身に塗りたくっている。
よく考えると、俺の中に三田の唾液が入るって事だよな、それって。
うわっ、ちょっとイヤかも・・・どうせならせめて俺の唾にして欲しかった。
入り口に三田の先っぽが当たって変な感じだ。
それこそ気持ち悪い筈なのに、どうしてだか俺はそれを望んでしまっている。
「三田くん、いきま〜す。」
昔やってたアニメのセリフを真似て馬鹿なことを言いながら俺に三田が入ってきた。
「うあっ・・・あっ・・・あっ・・・」
奴の腰の動きに合わせたかのような俺の喘ぎ声が部屋中に充満している。
「きっつっ・・・江藤の中・・・」
そりゃそうだろう、女のあそことは作りが違うんだから。
「でも・・・すぐイっちゃいそう・・・」
俺がイクまでいくんじゃねーぞ、オラッ。
言いたい事が全部淫らな言霊となって上手く三田に伝わらない。
奴の息も乱れに乱れて2人の声が溶け合って、それだけでおかしくなりそうな俺の身体。
自分じゃないみたいに三田のモノをくわえて悦んでいる俺の身体。
頭はカクカクしてるし、まるで猿の交尾みたいだ。
そう言えば動物の交尾ってまさにこの体位でやってるよな。
あんまり正常位って他の動物はしないのかな?
気が遠くなりそうなのを堪える為なのか、そんなことばっかり浮かんでくる。
猿にもホモっているんかなー? とか。
そっと振り返ると三田も必死な顔をしている。
誰かが「女の一番美しい顔はセックスの時だ」とか言ってたけど、三田を見てるとそれって男にも言えるんじゃないかと思う。
俺が三田に入れてる時の奴の顔とか、今の顔とか・・・何て言うの、恍惚の表情。
達する直前の汗を吹き出して、声を出して、赤くして・・・無防備な本能のままの三田。
その顔はいつものこいつからは想像もつかないほど艶めかしい。
三田の顔にむしゃぶりつきたい衝動に駆られる。
おかしいのはもしかして俺の方なんだろうか?
三田は俺が喘いでる姿とか見てどう思ってるんだろう?
やっぱキモっとか思っちゃってる?
でもだったら俺相手に射精なんかしねーよな。
確かに俺は彼女を好きだし、やっぱり女とセックスする方が好きだ。
けど・・・三田としてると彼女とするよりも俺は自分を素直に出せるし、奴は俺の裏の裏側まで余すところなく引き出していく。
しかも三田の身体が一番感じる。
入れてる時も、入れられてる時も。
両方気持ちいいなんてすげー事だと思うし、きっと身体の相性がぴったりなんだな。
これって三田と寝て良かったってことなんだろうか?
・・・・・・あ、やばい・・・イキそう・・・。
「はっ・・・んっ・・・あっあっ・・・」
三田も出そうになっているのか動きがどんどん早くなってきて、もうおかしくなりそうに俺は喘ぎまくっている。
まるで俺の中で別の誰かが叫んでいるみたいで、自分が今、どんな状態かも解らなくなってきていた。
彼女とやっていてもこんなことにはならない。
そりゃそうだ、女相手に女役なんかやらねーもんな。
「ああーっ・・・」
最後の声を振り絞ってありったけの叫び声を上げた。
もう喉がカラカラで何でもいいから飲みたい。
俺が達した直後、三田も俺の中でイッた。
ずるっと中から自分自身を抜き出すと、精液でゴムがするするっと離れる。
三田も自分を放って力が抜けたのか俺の背中にひっついている。
汗で気持ちワリーから早くどいて欲しいけど、暫くは許してやるか。
「ああ! 江藤にゴム付けんの忘れた!」
別に俺が付けなくてもエイズになることはないだろ? 変な奴。
「俺のベッドにお前のザーメンが付いちまったじゃねーか。 どうしてくれんだよ?」
あ、本当だ。 きったねー。 
けど俺にどうしろっつーんだよ。
「早く拭け! イカ臭くなる。」
ひでー言い草。 ムードもへったくれもねーじゃん。
チッと舌打ちをしながらティッシュを数枚取り出して、のろのろと俺の出したもんが付いてるシーツを拭く。
何か自分が情けない。

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