水面の下の永遠 
No.7

「喬?」
声がして現実に戻った。
僕は噤の方へ手を伸ばし、思いっきり抱きしめた。
「好きだよ。」
「何言ってんだよ。」
耳元で噤の照れた声が囁きの様に聞こえる。
「ちゃんと言った事、なかっただろ?」
「喬・・・。」
その声は、嬉しそうな、それでいて哀しそうだった。
そして僕らはそのまま冷たい床に倒れ込んだ。
僕は噤の顔にキスを降らせる。
そして細い首筋や胸・・・。
今まで噤の身体を支配してきた男達の記憶を消し去りたかった。
「んっ・・・」
堪らずに噤が声を出す。
噤の全てを僕で包み込むように、どこもかしこも舐め上げた。
「ああっ・・・喬・・・」
噤の発するその声が僕の本能を掻き立てる。
舌が噤の下腹部へ移動して、そのままそこも舐めた。
「んんっ・・・はぁ・・・」
噤の身体が震えて瞳は熱っぽさを帯びている。
幼い頃は口吻だけで充分だったはずなのに、いつから僕らは大人になったのだろうか。
噤はこんな事を物心が付く前からしていたんだ。
きっと客の中には乱暴してくる奴もいただろうに・・・。
細い身体でそれに耐えていたんだね。
それを考えると、とても哀しい気持ちになる。
「もう・・・出るっ・・・」
「いいよ、出して、噤・・・」
そう言うと、噤は僕の口の中に放った。
「はぁ・・・」
噤はぐったりして僕に寄りかかってくる。
「なあ・・・入れていいぜ・・・」
「え?」
「喬だって限界だろ?」
うん、そうなんだけど・・・でも僕は噤が痛がることはしたくないのだ。
「だって・・・そんなの噤・・・つらいだろ?」
そう言うと、フッと笑う。
「俺は・・・慣れてるから・・・・お前と繋がりたいよ。」
慣れている、その言葉に泣きたくなる。
「噤・・・いいのか・・・?」
「お前は俺なんかとするの、嫌か?」
「そんな訳ないじゃないか。」
ずっとずっと想っていた、夢にまで見た噤の身体・・・あの時の冷めた目で僕を見ていた愛しい肢体が目の前で、僕を受け入れると言ってくれている・・・。
指先を自分の唾液で濡らして噤のそれに当てる。
僕はズボンのジッパーを下げて噤に侵入した。
「・・・くっ・・・あぁ・・・」
実際に慣らされていた噤のそこは僕を簡単に受け入れた。
僕の前に後ろ向きに座って、噤が動いている。
本当だったら、すごく嬉しいのに・・・。
僕の噤・・・・・・。
「・・・喬・・・お前の・・・すっごくいいよ・・・ああっ」
「んっ・・・はぁ・・・つぐ・・むっ・・・」
ごめんな・・・僕にはこれしかお前を救う道がないよ・・・。
僕はズボンのポケットからカプセルを1つ取り出すと、切ない声を上げている噤の口へ指で押し込んだ。


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