なろうよ。
(15禁)

〜生徒の視点・1〜

放課後の美術室。 部活が終わったのを見計らって、俺はそこで1人片づけに追われている日下部に向かって言った。

「先生、好きなんだ。 付き合ってよ」

この世に生を受けて早16年、高校に入学して7ヶ月。 自分が誰かに告白する日が来ようとは思ってもみなかった。
だって自分で言うのもなんだけど、これでもここに来てから既に4人に告られたんだぜ。
なのに今イチその女の子達と付き合う決め手が欠けていて、何でだろうなぁ、って考えていたら気付いちゃったんだ。
俺は美術教師の日下部が好きなんだって……。
なのに……なのに……何で日下部のやつ、男なんだよー!
でもそんなのどうでもいいや。 好きな気持ちってそんなことだけで冷めるもんでもないだろ?
だから思い切って告ってみることにした。 もしかしたら、ってことあるじゃん?
けど、やっぱり俺の告白に困惑してるって顔だ。
「あのさ……君……」
君!? 日下部は俺の名前すら覚えてないのかよ? 俺のクラスはこいつの授業、受けてんのにっ。
「西尾」
「ああ、じゃあ、西尾、あのさ……俺は男なんだけど」
「そんなの知ってるよ。 先生は差別する人なのか?」
よし、ここで先手を打っておけば男っつー理由で俺を振るなんて出来ないだろう? もしそんなこと言ったら教師失格だもんなー。
俺はにっこりと笑った。 さあ、どう出る? 日下部せんせー。
「そういう訳じゃないが……」
「んじゃいいじゃん。 な、俺と付き合おうぜ。」
へっ、困ってやがるぜ。 ま、そりゃそーか、俺だって男に告られたら困っちゃうもんな。
俺はちょっとづつ日下部との距離を縮めていく。 逃げ場を作らせないようにな。
この美術教師はズズッと後ずさりをしていってる。 そんなことしたら余計に俺が迫っちゃうよ〜ん。
「あー……俺は教師だし、お前は生徒だ。 やっぱりそういうのってまずいだろう?」
は〜? それが日下部の答え? ばっからしいー。
そんな言い訳が俺に通用するとでも思ってんのかね? 今時の先公がそんな殊勝なこと考えてるわけねーだろがっ!
可笑しくて思わず笑い出しちゃったよ。
「よっく言うよ。 先生だってチャンスがあれば生徒とやりてーとか思ってるくせに、男に告られたらそーやって逃げんのかよ?」
はっはーっだ。 焦ってる焦ってる。 
俺だったらきっと逃げちゃうけど、でも今は逆の立場だからぜってー逃がさねーぞ。
あ、今度はだんまり?
「なあ、何か言えよ。 俺だって先生なんか好きになるなんて思ってもみなかったんだから」
迫っていって、気付くと準備室のドアに日下部の背中がぶつかった。 これで何処にも行けないよ、せんせー。
「き……君の気持ちは嬉しいけど……でも俺は西尾のことも良く知らないわけだし……」
「じゃ、これから知ればいいだろ? 俺は本気だからな」
そう言うと、日下部の顔が歪む。 生徒にビビッてんの?
その時、ガチャッと生物教師の横山が美術室に入ってきた。
「日下部先生、いますか?」
何だよ? これからって時に邪魔が入ってきやがった。
日下部を見ると心底ホッとした顔してるし、すっげームカつくっ!
けどこれじゃあ、どうにもなんないじゃんか。
俺はチッと舌打ちをして
「じゃ、先生、さっきの件、考えておいてくれよな」
と諦めてこの場は去ることにした。
もちろん邪魔者の横山には通りすがりに
「ざけんなよ」
と捨て台詞を吐いてやったけどな。
教室を出ると、いきなり心臓がバクバク鳴りだして、暫く動けなくなっちまった。
は〜っ、告白ってすんごい体力使うもんなんだな、めっちゃ疲れた。



家に帰って自分の部屋に入ると一気に力が抜けたみたいに座り込んだ。
うわ〜、言っちゃたよっ。 俺にとってはかなり勇気と気力を使ったぞ。
自分で自分を今日は褒めてやろうじゃないか。
何で俺がこんなに焦って告ったかっていうと、自分以外にも日下部を狙ってるやつがいたからなんだよ。
え? 誰かって? ほら、さっき俺らの邪魔をしてきた横山だよ。
鈍そうな日下部はまーったく気づいていないみたいだけどさ、俺様はごまかされないぞ。
どうしてだかあの2人は仲良さげで一緒にいるところをよく見かける。
そんな時のあの日下部を見つめるエロオヤジな目っ! 直ぐにでもセクハラしそうな下心が丸見えでヒヤヒヤもんだ。
それが解らないのが不思議なくらい横山はベタベタしてて、すんげーキモい。
日下部はどっか抜けたとこがあるからなぁ、まさか知らない間にやられちゃうなんてこと、ないよな?
それにしても、俺だよ、俺!
言っておくけど、最初からホモなわけじゃないんだぞ。 今だって好きになったのがたまたま男だっただけで、基本的には女の子を見てる方が好きだし、エロ本だって何十冊持ってるか解んないくらいだ。
健康な男だったら当然だよな?
あ、そういえばこの前買ってまだ見てないのがあったよなぁ。
俺はベッドの下なんていう、きっとお袋にはバレバレな場所から一冊取り出してパラパラめくった。
隠しててもばれてちゃ意味ないじゃん、って思うけど、それは暗黙の了解ってやつ。
お袋だって年頃の息子がエロ本を一冊も持っていなかったら、それこそホモだとか心配するってもんだ。
ごめんね、母ちゃん、俺ってば今回だけは好きになった相手が男なんだよーっ。 しかも先生なんだよーっ。
ん? このどっかのAV女優のあそこに指を突っ込んでる男、ちょっと日下部に似てるぞ〜。
そう思ったら俺のあそこまでだんだん角度が変わってきた。
ズボンがきつく感じてきて、チャックを開く。 そっと触ってみると、もうガマン汁がぬるっと出ていて、側に置いてあるティッシュを取り出してちょん、と拭いた。
あれ? 俺ってば股開いてる女じゃなくて指を入れてる日下部似の男の方見て勃ってる
……? ええい、どっちでもいいや、取り敢えずこの疼きを何とかしよう。
「んっ
……
俺は恥ずかしながらここを自分以外の誰にもまだ触らせたことがない。 そう、まだ童貞! 信じらんないだろ? 今までに10回は告られてるってのに。
だってやっぱ一番好きな人としたいじゃん。 そーゆーとこは死んだ親父に似て古風なんだよなぁ。
日下部とならいいかな、って思ってるんだけどさ、でもお互い男なんだよなぁ。
だから、この前超!恥ずかしかったんだけど、買っちゃった〜。
あれだよ、ゲイのやつらが買う雑誌! 
それまで俺はホモとかっていうとムキムキのマッチョマンが組んずほぐれつってのを想像してたんだけど、俺が買った本は全然違った。
ホストみたいなイケメン軍団がやりまくってんだぜ〜。
あまりに凄くて目眩がしたくらいだ。
何でそんなの買ったかって? だってさぁ、もし日下部とそーゆー関係になってやりかたが解らなかったらバカみたいじゃんか。
さすがにこれは誰にも見つからない所にしまってあるけど。
それ見ると、どっちかが尻の穴に相手のでっかいあれを入れてるんだぜ!!
……そんなもんよく入るよなっ。
……俺と日下部だったらどっちがどっちなんだろう? やっぱり年功序列で俺が入れられちゃう方なのかな?
痛そうだー! 日下部の大きさなんか知らないけど、小さくても無理っぽくない? だからって俺が「入れさせてくれ」って言っても更に無理そうだし。
あ〜っ! 男同士って大変そう。 でもっ、でもっ、もし日下部が付き合ってくれるんだったら俺、ガマンしちゃう。
「っつ
……!」
うわわー! そんなこと想像してたらもう出ちゃったよ。
俺はいつもより早くイッたそれをこしょこしょと脱力感とともにティッシュで拭いた。
俺、日下部をオナニーのオカズにしちゃうくらい好きなんだ。
好きだー! せんせー!
見てろよ、諦めが悪いのが俺の長所なんだからなっ!



「はい、じゃあ、この用紙に記入して」
「あ、はい」
俺はボールペンで名前を入部届にサインした。
ふっふっふっ、これで俺も晴れて美術部員だ。 美術なんて成績2だけど、そんなこと気にしてられっかよ。
だってここに入れば週3で日下部に会える理由があるんだぜー。
何で今まで気付かなかったんだろう? ばっかだなぁ。
「じゃ、これで君も美術部員の一員ね。 私、部長の小山内」
「あ、西尾ッス。 よろしくお願いします」
美術部なんていうからもっと暗い感じなのかと思ったら、部長は結構美人だし、みんな優しそうだし、なかなかいい雰囲気じゃん。
ははー、さては日下部のやつ、部長を手込めにしようとしてたな。
甘いんだよ、これからは部長の操、俺が守ってやるからな。
あ、でも綺麗なお姉さんて感じだから、彼氏くらいいるか。
残念だねぇ、せんせー。
入ってから、部員のみんなが日下部を「カベちゃん」と呼んでいるのに気付いた。
なーんか、ずるいなぁ。 よし、俺ももう立派な部員だ。 カベちゃんと呼んでやるぞ〜。
「あ、私カベちゃん呼んでくるねー」
部長は準備室に向かって言った。
「カベちゃん、もうすぐ部活始まるよ〜ん」
もうすぐ、あのドアから愛しの日下部が出てくる。
へへ、俺を見たらどーゆー反応するんだろう?
きっと目ん玉飛び出るんじゃないか? すっげーやな顔されそう。
う〜ん、容易に想像出来ちゃうとこが哀しいなぁ。

ぬっと日下部が部屋から出てきた。
部長が歩きながら
「カベちゃん、今日から新入部員が入ったんだよ」
と話している。 まだ部長の影になって俺が見えないみたいだ。
やっと見えたその笑顔は俺を見るなりみるみる引きつり始める。
あ〜あ、予想通りの態度取ってくれるよな〜。 ちぇ〜っだ。
「1年4組の西尾です。 よろしくお願いしま〜っす」
変わりに俺が満面の笑みを日下部に向けてやった。
なあ、せんせー、俺は1度好きになったらしつこいことが判明したんだぜ、覚悟しとけよ。

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