おいでよ。
〜3〜

指を引き抜くと、身体をずらして西尾の顔をグイッと向けて舌を絡め取る。
「はぁ・・・はぁ・・・ふ・・・」
さっきよりも性的興奮して粘りが出てきた唾液が口を離しても舌と舌を繋げている。 うわ〜エロっ。
「入れるぞ、いいな?」
コクンと頷かれたが西尾は朦朧としてて何を言われてるのか解ってないかもしれない。
「蹴るなよ。」
一言付け加えて自分自身にオイルを塗ると・・・やばい・・・気持ちいい・・・。 オナニーする時、くせになったらどうしよう。
それにしてもやっと! やっとだ。 穴が違うがどうでもいいぞ、こんちくしょー!
西尾の秘部に押し当てるとビクッと硬直していくのが手に取る様に解る。
「力抜け、西尾。」
「んなこと・・・言われても・・・」
まあ、女でも最初はそうだもんなぁ・・・入れちまえばこっちのモンだ。
ウキウキしながらもズズッとゆっくりと侵入させた。
「いってーっ! やだ! 抜いてよ!」
冗談だろう? どれだけ苦虫かみ潰したと思ってんだよ。
ああ・・・半分入った・・・。 それだけで俺は感動で涙が出そうになっちまった。
しかし・・・女のそれより狭くて締めが凄い・・・これじゃあ、動くのもままならないかもしれない。
更に西尾は異物が入った違和感で身体中硬直させている。
「力抜けって」
「ムリだよ! せんせぇ・・・痛い!」
痛くない様にやってるつもりなのに、やっぱ女とは違うんだなぁ。
それでも細心の注意を払って亀の如きスピードで動かす度に西尾は大泣きしながら訴えてくる。
「死んじゃう・・・俺死んじゃうよ! 痛ぇよ!」 
どうしろって言うんだよ! 俺だって今までずっとお前の暴力に耐えてきたんだぞ。
「お願い・・・せんせー・・・抜いてよ・・・」
泣いて懇願されても困る。 俺のこの迸りはもう止められない・・・つーか止めたくない。
「抜いて・・・お願い・・・」
俺は別に強姦したいわけじゃないんだよ、けどな、これはお前が誘ってきた結果じゃないかよ。 こうなる事なんて最初から解ってた事だろう?
何なんだよ、お前はっ!
何なんだよ、俺はっ!
何なんだよっ! ちっくしょー!! 




「ごめん・・・。」
えぐえぐしながら謝ってくる西尾の頭を撫でながら
「いいさ、半分は入ったもんな。」
と笑顔で答える。 はー、俺って何て良い奴。 自分で感動するっての。
結局あれから直ぐに抜いてやった。 西尾の泣き顔見てたら可哀想になっちまって・・・萎えた・・・。
本気で痛がって泣きじゃくる西尾の姿を尻目に自分の欲望だけを押しつけるなんて所詮俺にはムリなんだよ、そこまで鬼畜じゃない。
「今度はもう少しガマンしろよ。」
「うん・・・。」
そう、こんな感じでベッドに寝っ転がってキスしたり西尾の火照った顔を見てると、セックスする時の高揚感とは違う幸せを感じてしまっている。
こういう時こそ、「恋人達の時間」て言うんじゃないかと思う。
セックスが出来なくても、女じゃなくても、こいつは俺の可愛い可愛い年下の恋人。
「俺・・・頑張るから・・・だから嫌いになんないでくれよな。」
真剣な眼差しすら微笑ましい。
「だったら次は全部入れさせろ。」
「うっ・・・。」
「ばーか、嘘だっての。 少しずつ進んでいけばいいさ。」
「うん・・・。」
シュンとなってる唇のカタチを指でなぞるとぽーっと西尾が夢心地になる。
黄昏時に西尾と2人ベッドの中でまどろむこの感じ・・・結構贅沢に思えていいかもしれない。
「またここでしような。」
西尾の家なら横山は絶対に来るわけないし、邪魔が入らず色んな事が出来るじゃないか。
な〜んて良い場所を提供してくれたんだ、こいつは。
って俺が内心ほくそ笑んでいたその時。

「お〜い、龍次(りゅうじ)、誰か来てんのか?」

男がいきなりドアを開けて入ってきて、俺は固まった。 ――― いや、正確には3人とも固まっている。
・・・龍次って誰だ・・・?
「なっ・・・何でノックもしねーで入ってくんだよ! バカ兄貴!」
横にいた西尾が最初に我に返って慌てて叫んだ。 ・・・龍次って西尾の名前か。
わぁ、男らしい名前。 ってそんな呑気な事考えてる場合じゃないぞ!
終わりだ・・・頭の中には明日の朝刊の見出し「男性教諭 男子高校生にわいせつ行為で逮捕」の文字が浮かんで来る。
俺が青くなっていると西尾に怒鳴られてあんぐりと口を開けていた男がしゃべり出した。
「お前・・・マジでホモになっちまったのか? 待てよ、じゃあ、そのベッドで間抜け面してるのって・・・。」
何かこっちに来るっ! 
「やっぱり日下部かぁ!」
 なっ・・・何で俺の名前知ってるんだ!?
「久し振りだなぁ、先生。 まさかこーんなとこで逢うとは思わなかったけどな。」
と言ってニヤニヤしてるその顔をよく見ると・・・げっ!!!
こいつ去年卒業した西尾だ! 顔を覚えるのが苦手な俺でも知ってるくらい有名なヤンキーの西尾だ!
きょ・・・兄弟だったのか!? こいつら!
「いいから出てけよ!」
「何だよ、うっせーな、俺は日下部と感動の再会をしてんだよ。」
「しなくていいから向こう行けよ!」
「兄に向かっていい度胸だなぁ、てめぇ。」
・・・そう言えば口の悪さがよく似てる・・・。 もしかして横山よりタチの悪い奴に見られたんじゃないか・・・?
ふら〜っと目の前が真っ暗になっていく気分だ。 一層の事、本当に真っ暗になって欲しかった。
「ホモのベッドシーンなんて俺初めて見たぜ、いや〜、笑かしてくれんぜ、日下部。」
西尾兄が愉快そうに腹を抱えて笑っているが全然面白くもなんともない!
「・・・西尾・・・誰もいないって言ったよなぁ・・・?」
この状況はどういう事なんだよ?
「で・・・でも俺嘘は言ってねーもん。」
「どこがだ!!!」
「親はいないじゃん、ここに。」
西尾の奴開き直りやがった!!!
怒り心頭の俺を見てニヤついていた西尾兄は弟の助け船を出した。
「そんなに怒る事もねぇんじゃねぇ? 俺は別に親に言うつもりもねぇしさ。」
「・・・・・・へ・・・?」
何だ、こいつ結構良い奴じゃないか。 とホッとしていたのもつかの間。
「でも弟に手を出されて黙ってるわけにもいかねーよなぁ? 落とし前は付けさせて貰うぜ。」
お・・・お・・・落とし前〜!? 
俺はサーッと頭のてっぺんからつま先まで一気に血の気が引いていくのを感じた。
もうダメだ・・・俺、明日には東京湾の底に沈んでいるかもしれない。
くそったれっ! こんな事なら泣かれようが喚かれようが最後までヤッちまえば良かった!!
「兄貴ィ! 俺から誘ったんだよ! カベちゃんは悪くねーよ!」
兄の腕を掴んで反論している。 
全くその通り! 俺は誘われただけで悪くない!
「いいからお前は黙ってろ!」
「ぜってーやだ! カベちゃんは俺の大切な人なんだ! 兄貴に手は出させねー!」
と言って俺の前に立ちはだかり兄弟が対峙する格好になった。
・・・何だか俺ってヒーローに守られてるヒロインみたいじゃないか? 微妙に情けない気がしないでもない・・・。
暫く兄弟でにらみ合った後、ハーッと深いため息を兄貴の方が付いて言った。
「お前・・・日下部のどこがそんなにいいんだ?」
ハッ、仰る通りで。
「兄貴になんかカベちゃんのいいとこわかんねーよ!」
俺にも解らん。
「ったく日下部よぅ、よくも弟をホモにしてくれたよなぁ。」
誤解だ! どっちかって言うと俺がホモにされたって方が正しいと思うぞ。 
っつーかホモじゃないし!
「龍次もお袋には見つからない様にしろよ。」
と言って西尾の鼻をピンッと指ではじいた。
「兄貴ィ。」
あ、何だか良く解らないけど上手く治まった気がする。
・・・はっ! 俺の誤解を解くタイミング逃した〜!
「あ・・・あの・・・さっき言ってた事なんだが」
「日下部、取引しようじゃないか。 まさかこのまま逃げるなんてこたぁねーよな?」
俺のセリフをぶっちぎって兄貴が俺ににーっこりと悪魔の笑顔を向ける。
「・・・・・・はい・・・?」
俺は反論する隙を完全に断たれてしまった。 さすが元ヤン、怖ぇ・・・。




「あんな取引で見逃してくれるなんて良かったなぁ、カベちゃん。」
「・・・・・・。」
玄関を出て西尾が無邪気な笑顔を向けて言った。 無邪気というのは時に残酷だ。
西尾の兄貴が持ちかけた取引・・・・・・それは俺が持ってる全てのエロ本とAVの没収 ――――― 。
確かに・・・確かにばらされるよりは数倍いいかもしれない・・・しかし・・・しかし・・・。
納得いかねー!!!
結局俺が損しただけじゃないかっ! セックスもしてないのに!
俺の巨乳コレクションがぁっ! 裏ビデオがぁ! 
「兄貴公認だし、これでいつでもウチに来られるよなっ。」
うっとりと1人嬉しそうな西尾。 お前はいいよなっ、いざとなったら俺が没収されたモン全部見られるんだもんなっ。
前言撤回! 2度と西尾の家になんか行くかっ!!

                    〜えんど〜

BACK← →NOVELTOP 

結局カベちゃんはいつも通りのヘタレでしたねぇ(笑) でもちょびっと進展したのでヨシとしましょう。
今回は横山じゃなく西尾兄に邪魔して貰いました。 彼がいなくて物足りないアナタは既に横山マジックに掛かってる模様です(何ですか、それは)
やっぱりエロコメは書いてて楽しい〜v