小説
NO.1
温泉行ったら何をする? まーくんからのリクv 15禁
窓の外を見ると、桜が満開に咲いている。 その光景が余りにも綺麗で窓を全開にして開けた。 そよ風が頬をくすぐり、俺は気持ちが良くて、目を閉じる。 こうしてると自分が桜の香りに吸い込まれそうな気がしてくる。 「あれー?もう浴衣になっちゃったんですかー?」 その声にはっとして声の聞こえた方へ振り向いた。 人がいい気分に浸っていたのに。 「スーツは肩が凝るからな。山岸、お前何処に行ってたんだ?」 「まあ、ちょっと・・・。」 そう言いながら、奴はニヤニヤしている。 はっきり言わないところが、ムカつく。 「大体さー、何で温泉旅館なんだよ?出張だぞ、ビジネスホテルで充分じゃないか。」 そう、俺と山岸は顧客に会う為に1泊で出張に来ているのだ。 「だって折角経理がOKくれたんですよ〜。」 「経費のムダだ、帰ったらそう言っておく。」 「いいじゃないすか。社内じゃいちゃいちゃ出来ないし、タダで主任と温泉旅行が出来たんだから。」 奴がのんきそうに言う。 若い奴は気楽でいいよな、会社だって楽じゃないんだぞ。 あ、今、すごく年寄りくさい・・・。 しょうがないよな、山岸とは8歳も年が違うし。 「それにしても主任、浴衣姿そそっちゃいますねぇ。」 「あほっ。」 俺は奴の視線が自分の胸元に来ているのを見て、慌てて浴衣の乱れを整えた。 「今は、何にもしませんよー、後のお楽しみ。」 お楽しみって・・・こいつはやっぱりそんな事考えてたのか・・・。 俺ってば何で若造とこんな関係になっちゃったんだろう? しかも自分の部下だし、男だし。 こいつの方が不思議だ。 俺の何処がそんなにいいのかさっぱり解らない。 年上美人の女上司なら、納得も出来るのに。 俺はというと、4ヶ月前に女に振られるわ、もうすぐ33だわ。 そうだ、俺が振られて、落ち込んでいた時にこいつに飲みに誘われて・・・。 あの時べろんべろんに酔っぱらって、目が覚めたらどっかのホテルで、隣見たらこいつがいて・・・。 よく考えたらそれって弱みにつけ込まれたんじゃないか? 「主任、そんなに見つめられると、俺、やばいっすよ。」 俺が奴を睨んでいたのを、いいように解釈している。 そーいう奴だよ、お前は。 は〜、ため息が出てきた。 どうにか気を紛らわそうとして、俺がテレビのスイッチを入れようとすると、奴の手がそれを遮った。 「何するんだ?俺はテレビが見たいんだ。」 本当は別に見たい物なんて無いんだけど・・・。 むっとして山岸を見ると、にや〜って笑っている。 こいつはスケベ面にすぐなる。 「そんなオヤジくさいこと言ってないで、せっかくの温泉ですよー、お風呂行きましょう。」 「オヤジで悪かったな!ああ、お前は若いよ。」 「もう、何馬鹿な事言ってるんですか。ほらっ、行きますよ。」 渋々、下着とタオルをたたんで用意する。 横を見ると、山岸はコンビニの袋に浴衣を適当に突っ込んでいた。 雑な奴だ。 それにしてもさっきからいや〜な予感がするんだよな。 でもまあ、浴場なら人がいっぱいいるし、そんなに心配することもないか。 部屋を出て、階段を降りていくと、山岸が 「あ、ちょっと待ってて下さい。」 と言って、フロントで何かを受け取っている。 なんだよ、もう。 奴が戻ってきて、地下にある風呂場に行こうとすると山岸が腕をひっぱった。 「主任、違いますよ、俺たちはこっち。」 は? 「じゃ〜ん!貸し切り風呂〜。」 そう言って、一本の鍵を俺の目の前に差し出した。 !!!こいつっ!いつの間にっ!さっき1人でどっか行ったのって、まさかこれを予約しに行ったんじゃ・・・。 なんて用意周到な奴なんだ!くっそー、やられた。 「これで二人っきりでゆっくりできますねぇ。」 楽しそうに山岸がすたすたそっちの方へ歩いていく。 俺は足が重い・・・。
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