NO.2

貸し切り風呂は3つ横に並んであった。
一番左側の入り口を山岸はさっさと入っていった。
ああ、まんまと奴の策略にはまってしまったようだ、俺としたことが・・・。
どんよりした気分で脱衣所に入ると、4畳くらいの広さで、3つ脱衣かごが置いてあった。
その1つに帯をほどいて入れると、山岸が
「本当は俺が脱がしたい。」
などとぬかしてきやがった。
俺はそれを無視して浴衣を脱いでいく。
脱ぐとき横目でちらっと見ると、山岸の、もう元気になっててコワイ・・・。
タオルを腰に巻いて、風呂の扉を開くと、目の前はすぐに露天になっていた。
こじんまりしてるが、なかなかいい感じの岩風呂だ。
右手にシャワーと蛇口が2つづつついていて、そこで身体を洗うらしい。
こうなりゃ身体洗って、湯船につかってそっこーで出てやる。
そう思って奴を見ないように、髪を洗って、身体を洗い流そうとした瞬間山岸の声が隣で聞こえた。
「何でそんなに急ぐんですかー?」
「別に急いでない。」
手が止まる。
自分の顔の真横に奴の顔が近づいてきた。
「主任・・・俺が貸し切りとった意味、解ってますよね?」
「お前が勝手にとったんだろうが!」
「結構、高かったんですよー。」
「知るか、そんなの。」
「ひでー。」
そう言ったと思ったら、いきなり俺の後ろから抱きしめてきた。
「冷たいなー、主任てば。」
「!!」
泡だらけの身体を抱きしめられると、いつもと違った感触に驚いた。
「おいっ、離せってば・・・。」
「そんな事言われると、俺、余計に燃えちゃいますよ。」
この発情期がっっ。
山岸が息を耳に吹きかけてくると、ゾクゾクしてきた。
やばい・・・さっきからこいつのが背中にあたってるし、自分のもまずい状態になってきた・・・。
「離せって・・・。」
「いいのかなー、主任もその気になってきてるじゃないですか。」
もがこうとすると、石けんの所為で滑って更にまずい状態になってしまった。
「あっ・・・。」
「すげー、背中撫でただけなのに・・・主任の身体、全部が性感帯みたい。」
そう言うと、山岸は俺の身体中を撫でまわしてきた。
もう、何処を触られても身体が反応してきてる。
そんな自分が情けない・・・こんなガキに。
「やめっ・・・っ。」
奴の指が俺の胸を触ってきた。
「そんな事言って・・・乳首勃ってるじゃないですか・・・感じるでしょ?」
「・・・・・・!」
そうだよっ、手の感触がぬるぬるしていつもより気持ちいいさっ。
でも、絶対にそんな事言ってやらない。
すぐ調子に乗りやがるから。
「もう、素直じゃないなぁ、主任てば。でも、身体は素直ですよね。」
必ず後でぶん殴ってやるっ。
「・・・ふっ・・・んっ・・・。」
弄ぶようにねちっこい、こいつの手は俺を高めていく。
もう、俺は登り詰めるしかないのに、そこには触ってこない。
「主任、触って欲しい?」
「・・・っざけんな・・・」
何て嫌な奴なんだ、自分から仕掛けておいて。
「言ってくださいよ、ねぇ。」
更にこいつはエスカレートして、太股や付け根は触れるのにわざとそこだけ外している。
「・・・っはぁっ・・・はぁ・・・」
もう、おかしくなりそうだ。
「・・・っやく・・・やれよ・・・っ。」
耳元でくすっという笑い声が聞こえてきて、山岸が
「やっと言ってくれましたね。」
と、もうあと少しで張りつめたものが爆発しそうな俺のものを包み込む。
「あっ・・・あっ・・・。」
滑るように動くその手は、何か別の物のように俺を極限に誘い込む。
「・・・っあーっ。」
そこに触られて1分もしないうちに俺は果ててしまった。
「主任・・・今日、はやい・・・。」
「うるさいっ!」
「よっぽど気持ち良かったんですね。」
「!!」
「痛っ。」
とりあえず、いっぱつ頭を殴った。
その通りだから更に腹立つ。

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