NO.3
「主任、俺もそろそろ限界なんスけど・・・。」
こっちがまだ残っていたか・・・。
「座ってちゃ入らないから、こっちに来て下さいよ。」
そう言って隣との衝立を指定してきた。
「・・・お前、立ってやるつもりか?」
「だって、岩だらけだから主任、怪我しちゃいますよ。」
うっ、確かに・・・だったらやるなよ、って言いたい。
仕方なしに言われた方へ行くと、向こうから声が聞こえてきた。
「お・・・おいっ、隣、カップルがいるぞ。」
俺の心配も耳をかざず、
「じゃー、きっと隣もしますって。俺たちが先にいっちゃいましょう。」
と、しれっと言う。
そんな問題じゃないだろう?
そう言おうとすると、すかざず山岸が言ってくる。
「主任、後ろ向いて下さい。」
「後ろ!?」
「前からじゃ入らないですよ。」
何か、すごい屈辱的な気分だ。
両手を衝立にあてて、山岸を待ってるなんて、俺が誘ってるみたいじゃないか。
「主任・・・すげー興奮してきた。バックってやらしい。」
山岸が歓喜の声を上げた。
「!!!」
ちくしょーっ、こんな奴と俺ってば何やってるんだ。
「いきますよ、主任。力抜いて。」
そう言って、俺に入ってくる。
いつもよりすんなりいったのは、やっぱり石けんの所為だ。
「っつっ・・・」
でも、俺は慣れてないので、痛い。
力なんか抜けない。
「すごい・・・主任・・・こん中、熱いですよ・・・。」
「ああっ・・・もうっ・・・」
奴の息が乱れてくるのを、後ろで感じる。
俺はもう、痛みと快感で立っていられない。
「はぁっ・・・大・・・丈夫ですか・・・?」
大丈夫なわけないだろっ、バカ野郎!
そう思ったら、山岸が俺の腰に手を回して、支えてくれた。
「あっ・・・やっ・・・まっ・・・。」
「俺も・・・今日は・・・早漏になっちゃう・・・。」
言ったかと思うと、素早く俺から自分を抜いて、岩に出した。
俺は、力が今頃抜けて、座り込んでしまった。
「主任、今日、めちゃくちゃ気持ち良かった〜。」
「!!」
「痛っ」
とりあえずもういっぱつ殴ってやった。
「は〜極楽、極楽。」
温泉につかると、山岸は満足そうにそう言った。
俺はさっきので腰が痛いっていうのに。
それを察したかの様に言ってきやがった。
「ここの温泉、腰痛にもきくらしいですよ。」
「一回入っただけで、きくかっ、ボケっ。」
「え〜、そうなんですかー?困りましたね。寝るときまでには直して下さい。」
!!こいつはっ!夜もやる気なのか!?
ケダモノめっ。
ふと、聞こえてくる声に、俺は耳を疑った。
隣で聞こえてくるその声は、間違いなく男女の睦言だった。
「ね、やっぱりやってるでしょ?もしかして、俺たちが煽っちゃったかなぁ。」
楽しそうにそう言い放つ山岸を見て、俺は湯船に沈んでいった。
「わっ、大丈夫ですか?主任!」
そーいう奴だよ、お前はっ。
おわり。