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「俺本当は22歳じゃなくて、20歳。ついでに大学生じゃなくて、専門学生。」
夏紀が驚いた顔をしてる。
「そ・・・そうなの?」
「そ、あと名前もヒトナリって言うのはハンドルネームだから。」
ーあーあ、今までネットで会った奴にここまで言ったことないのにー。
悠斗は何故か解らないけれど、夏紀になら言ってもいいような気がした。
「どうして、嘘を書いたんだ?」
夏紀には納得がいかないらしい。
「当たり前じゃないか、一晩だけの相手にわざわざ正直に教える奴がいるかよ?そんなことして色々調べられたら困るだろ?」
悠斗は当たり前のように言う。
夏紀は、
「そうか・・・そういえばそうかもな・・・。」
と納得したようだ。
ふと、思い出したように夏紀が質問してきた。
「じゃあ、君の本当の名前は何て言うんだい?」
悠斗はちょっと考えてから答える。
「それはまだ言えないな、悪いけど・・・。今までと同じでヒトナリって呼んでくれないか?」
「・・・そうか・・・、解った・・・。」
夏紀は残念そうだ。
悠斗は笑って、
「それに俺はヒトナリって気に入ってるんだ。」
そう言うとビールを飲み込む。
「何か由来でもあるの?」
夏紀がそう聞くと、悠斗は照れたように言う。
「昔、俺の好きだった人の名前。ーもう、名前何てどーでもいいじゃん、俺は俺だし・・・。あーもうっ、今日は飲もうぜ。ほら。」
そう言ってもう一度新しく開けたビールで乾杯をした。
「そういえば、灰皿何処にあんの?」
悠斗は実はさっきから煙草が吸いたくて仕方なかったのだ。
「うち、禁煙。」
「マジで!?」
仕方ないので、いつものように空き缶に吸い殻を入れようと決め、ジーンズのポケットから煙草を取り出すと、夏紀が言ってきた。
「君も吸っちゃだめだよ。」
「何で?俺ちゃんと20歳過ぎてるぜ。」
悠斗が反論すると、夏紀は厳しい目で言う。
「煙草は身体に毒なんだよ。」
ー!!!こいつ・・・母親みてーな奴だ。
悠斗は口にくわえていた煙草をポロツと落とした。
もし俺が20歳未満だったら、酒もだめとか言いそうだ。
と悠斗は思った。
けれど何故かムカッとはこない、いや、どちらかというとくすぐったいような心地よさに包まれている気が悠斗はしてきた。

あれからどの位の時間がたっただろうか?
もう空き缶は10本をとうに超している。
くだらない話をしながら、大笑いをして夜は更けていく。
ーこんなに笑ったの、どれくらい振りだっけ・・・?
悠斗はそう考えたが、もう思い出せないくらい昔の様な気がした。
「夏紀って名前さー、女みたいだなー。」
「気にしてるんだから、言うなよー。」
2人とももうかなり酔っていて、語尾が間延びしている。
「あんたには全然合ってないよなー。」
悠斗が夏紀をからかう。
「よく言われるんだよー。」
夏紀は苦笑いをしている。
「でも、澤谷夏紀って・・・いい名前だ・・・。」
悠斗がうとうとしながら、言う。
「綺麗な名前・・・・・・綺麗・・・・・・」
そう言い残すと眠気が襲ってきて悠斗はそのまま眠りに落ちていった。

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