NO.5

あれから4ヶ月、俺は今、山岸と出張先の旅館に来ている。
宿の夕飯は結構旨かった。
食事を終えて仲居が布団を敷いた途端に山岸は、
「もう腰、大丈夫ですか?」
と訊いてきやがった。
何故かというと、さっき山岸が予約した貸し切り露天風呂でセックスしたからだ。
俺はやりたくなかったのに、山岸の策略にはまってしまった。
あの変態がっ。
結局俺たちは何故か付き合う様になってしまった。
山岸は俺が好きだと言ってるので、セフレとは違うと思うが。
俺は・・・未だに山岸に何も言っていない。
それというのも、食わせ者の笑顔や、人を見透かしたような表情や、調子のいい態度がむかつくからだ。
それに俺はもう1つ、どうしても納得出来ないことがある。
「え? 何ですか?」
既に一戦終えた布団の中で山岸が訊いてきた。
「何で俺ばっか入れられるんだよ?」
俺の方が年上なんだぞ、不条理な話だ、まったく。
奴はニヤッと笑う。
それがむかつくんだってば。
「へ〜、主任てそんなこと考えてたんですか。 いいですよ、俺はどっちでも。 じゃあ、試してみましょうか?」
言われて俺に突っ込まれている山岸を想像した。
・・・エグイ・・・考えたくない・・・。
俺にやられて喘ぐ山岸なんて見たくない。
いや、俺が喘いでる姿も自分では見たくもないが。
「・・・やっぱりいい・・・。」
「もう、まだ足りないのならそう言ってくれればいいのに。」
ちがーう! 
何でこいつはそう自分に良いように解釈するんだ?
こいつと付き合う様になってから最悪の日がずっと続いていて、もうどれが本当に最悪なのか解らなくなってしまった。
しかもそれに慣れてしまって、最悪な日じゃないと落ち着かなくなってきている。
俺をこんな風にしたのは山岸だ。
どうしてくれるんだよ?
「もう一回しましょう。 今のは主任が誘ったんですよ。」
「誘ってない!」
「もう遅いッス〜。」
言いながら俺の上にのしかかってきやがった。
「つっ・・・や・・・やめっ・・・あっ・・・」
俺はもう歳なんだよ、一日に何回もやれないっつーの。
なのに身体は反応しちまう。
これも山岸の所為だ。
「主任・・・素敵だ・・・今日は寝ちゃダメですよ。」
「む・・・」
無理に決まってんだろが。
やっぱり今日も最悪だ。
なのに最悪に安心するなんて・・・俺はどうかしちまったんだろうか?
山岸が全部悪い!
・・・そうか、こいつが最悪なんだ・・・。
でもそんな山岸の事が心地良いなんて絶対に言ってやらない。
山岸から離れられないなんて言ってやらない。
山岸が好きだなんて絶対に死んでも言ってやらないからなっ。
                                              おわり。

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