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シャワーを浴びると、悠斗は不思議な感覚に襲われた。
いつもだったらこの瞬間に後悔の二文字が浮かんでくるのだが、今はそれがまったくない。
それよりも夏紀と繋がったことの満足感でいっぱいになっていた。
ー夏紀さんのこと、こんなに好きになっちゃったなんて・・・自分が信じらんねー・・・。
悠斗が本気で人を好きになったのは、過去に一度しかない。
しかも心が通じ合えたのは、夏紀が初めてだったからだ。
ー好きになった奴とするのってこんなに違うものなのか・・・。
悠斗がそう考えていると、夏紀の声が聞こえてきた。
「あの・・・僕も入っていいかい?」
悠斗は笑いながら、
「いいよ、一緒に入ろう。」
と夏紀を誘う。
夏紀が恥ずかしそうに入ってくる。
悠斗はシャワーを夏紀に向けてお湯を掛けた。
「わっ、もう、止めてくれよ。」
「いいじゃん、その為の風呂なんだし、うりゃ。」
「もう・・・。」
そう言いながら夏紀もまんざらでも無いようだった。
「僕・・・どうだったか心配で・・・。」
身体を洗いながら、夏紀が聞いてくる。
ー本当に夏紀さんは心配性だな。
「俺がさー、感じまくってたのわかんなかった?」
「それはそうなんだけど・・・。」
「夏紀さんはどうだったんだよ?」
「え!?」
身体まで赤くなっているようだ。
「俺の中、気持ちよかった?」
夏紀は恥ずかしそうにうつむいて小さな声で答えた。
「・・・たよ・・・」
「聞こえないよ、もっと大きい声で言えよ。」
「・・・気持ちよかったよ!」
夏紀は清水の舞台から飛び降りるくらい勇気を振り絞って言った。
「そ・・・それは良かった。」
悠斗は、俺っていじめっ子みたい、と思いながら、嬉しくて堪らなかった。
「夏紀さんてかわいーなっ。」
そう言いながら、夏紀に軽いキスをする。
「ディープは止めとくわ、またしたくなっちゃうから。」
「・・・・・・。」
バスルームを出て、部屋に戻ると、夏紀がクーラーを入れてくれていたので、涼しくて気持ちがよかった。
さっきまで出ていた月はもう朝焼けに薄くなっていた。
そして、土曜日が始まる。
                                                    おわり。

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