うずくからだ
NO.4

「は・・・っ・・・」
俺の身体がその快感にビクッとのけぞる。 今、三田の口の中に俺の一部が入っていると思うと息が詰まりそうな喜びに打ち震える。
濡れた舌が淫らに俺を包み込んでいるんだ・・・。
こっちも再開。 シックスナインは実は彼女ともしたことがない。 何かまぬけな体位に思えて好きじゃなかったからだ。 なのに三田とは平気、格好付ける必要もないし、そもそもやり始めた原因がまぬけだから今更そんなこと考えてもしょーがない。
「ん・・・ぐ・・・」
口の奥まで入れるとそのまま飲み込めそうだ。 ちょっと阿部定な気分。
喉チンコと三田のチンコがぶつかってダブルチンコだ。 そう思ったらおかしくなって笑い出しそうになった。 はは、俺って色気がねーなー。
俺が唇の力に強弱を付けて吸うと、三田が真似る。 やり方をAVでしか見たことのない三田はまるで俺のコピー人間。 俺は彼女を真似ているから、フェラの師匠は彼女だ。 俺とつき合う前にも何人もの男をその口でいかせたに違いないと確信している。 だって初めてフェラしてもらったとき、すげー上手かったから。
きっとこの姿をビデオなんかに撮って見たら、爆死する。 気持ち悪くなる。 死ぬ。
なのに今は、どんなことでも出来そうな気がする・・・そう思うのはこの部屋の安っぽい海の雰囲気の所為なのか、三田の所為なのか・・・イルカより深い海の底で俺たちが一緒に泳いでいる。 何も考えられなくなる程の甘美な痺れ。
隙間から三田を見ると、余裕がなく目をずっとつぶっていて、動いてるわけでもないのに涙と汗がそこら中にしたたり落ちる。 
塞がっていて声の出せない口が、ううん、と辛そうに呻く。
ぴちゃぴちゃと水の音をさせて、生暖かい棒をアイスキャンディーのように扱っていると、さっきまでの匂いは感じなくなり甘く愛おしいもののような気分になってくる。
三田の彼女がフェラしなかったことに感謝したくなった。
他の部分より紅黒く、静脈が浮き出ている俺だけの三田のペニス。 女のあそこには突っ込んでもいいけど俺以外の口には突っ込むんじゃねーぞ。
これは俺の所有物。 他の誰にもやらない。 俺だけのものだ。
「んんんっ」
三田の足がぴきーんと硬直して、射精の合図が送られる。 やべっ。
慌てて口を離すと、すぐに三田は白い液体を出した。
初めての経験に短時間でイッた三田は、俺から唇を離してはぁはぁと乱れた呼吸を整えようとしている。
「俺はまだイッてねーぞ。」
「も・・・ムリだ・・・」
冗談じゃねー。 俺はキモいの我慢してフェラしてやったのに。
三田を無視して、今度は首にまたがった。
「俺がイクまでやれよ。」
「そんな・・・っ!」
ムリヤリ三田の口に突っ込む。 凄い光景。 上から見るとセックスしてるわけじゃないのに犯してる気分。 ヴァギナより数倍いやらしくて淫らに臨むその唇。
「んんっ・・・んっ・・・」
今度は上になってる俺が腰を動かして、泣きながらも俺をくわえてる三田を見ると袋がやつの顎にぶつかって何だか滑稽だ。
どうして俺はこんなに三田にはまったんだろう?
こいつが女だったら違ったんだろうか?
でもこの瞬間の顔は女とか男とかそんなものは超越している。
俺を狂わせるエロス。 別に三田は美形とかそんなんじゃない。 普段はいたって平凡な顔。 なのにセックスの時だけ変貌する。
なあ、わかってんのか? 彼女よりお前を見てる方が性欲をかき立てられるって言ってんだぜ。
「・・・はぁ・・・もっと・・・三田・・・もっと奥まで・・・あっ・・・」
彼女より全然へたくそなのに、三田が俺のペニスをフェラチオしてると思うとそれだけで気持ちよさ倍増で射精発射時間までが短縮される。
もうそろそろ時が迫ってきて、顔射してやろうか迷ってるうちに気づいたら三田の口の中に出していた。
あれ? 最後でコントロールが効かなくなっちまった。
三田はぽろぽろ涙を流しながら何かを言いたげに口を手で押さえている。
そりゃキモいよなー、精液を飲まなきゃなんねーんだもん。
「ワリー・・・そんなつもりなかったんだけど・・・。」
ここは素直に謝るのがベストだ。 怒るとこいつは暴れ出すから。
と、いきなり三田が立ち上がって一瞬殴られんのかと思って身をかまえていたらベッドから抜け出して走ってユニットバスに直行した。
「・・・・・・?」
ションベンでも我慢してたのか? とか思ったらげぇーっと声が聞こえてきた。
「!!!」
三田のヤロー、吐きやがった! 気持ちは解らなくないけど、ショック。
俺のザーメンそんなに不味いってこと? 嘘だー、彼女は飲んでくれるのに。
暫く水道の音とか、うがいをしてる音、げほっと咳き込んでる音がローテーションに聞こえていた。
俺は飲まなくて良かった、と心底思った。 これから三田とフェラしても絶対に飲むのは止めよう、うん。
それにしても唇がひりひりして痛い。 ・・・明日になったら口だけ筋肉痛になりそうな予感。 こんなに疲れるなんて女は大変だ。
「・・・江藤・・・てめーよくもやってくれたな。」
部屋に戻ってきた三田は吐いたお陰ですっかり酔いも醒めたようだ。
「だから悪かったって言ってんだろ。」
うわー、かなり怒ってるよ、やべー。 さっき泣いていた目に怒りの炎が見える。
「うるせー。 オラッ、覚悟は出来てるんだろうなー?」
「・・・・・・。」
殴られんのかなー? はぁ、やっぱ一発くらいしょーがねーか。
ぎゅっと目をつぶって三田の拳を待っていると、ぐいっと手を引っ張られてベッドに投げ出された。
「!?」
「やるからな。 いつもより乱暴にやってやる。」
押し倒された俺の目の前にずいっと凄んだ三田の顔が寄ってきた。
「おいっ、この前お前が入れたんだから今日は俺の番だろ?」
「俺がやるったらやるんだよっ。 てめーの腰が砕けるくらいやってやる。」
「はあ?」
何だ? それは喜んでいいのか? 三田の考えてる事はよくわからねーな。
「バックでなんかやらねー。 騎乗位させてやる。 江藤が動け!」
「そんなことしねーからなっ。 大体フェラしてくれって言ったのそっちじゃねーか。」
「してくれって言ったけど、してやるとは言ってねーだろ。 しかもザーメン口に入れやがって。 超最悪!」
か〜っ。 勝手な奴。
「だからー、あれは出すタイミングに失敗してー」
三田がケッと一言。
「だったら俺もゴム付けるタイミング失敗してやる。」
げっ。
それはマジ勘弁。
俺が反論しようと口を開くと、今度はベロが侵入してきた。
苦しいけど気持ちいい、三田の舌。 ちょっとだけゲロの味がして躊躇。 でもそんなの許してくれない攻撃。
おかしい、さっきまで俺は三田にぶち込みたくてうずうずしていたのに、形勢逆転されると愛撫されたくて身体がどくどくいってる。
これから先恋人が何人変わろうと、たぶん三田とは終わらない。
どこまでも求め続けて堕落し続ける俺たちは一体どうなるのだろう?
恋人、友達、セックスフレンド。 そんな名称どーでもいい。 欲しいのはお前の身体だけ。
彼女を好きだけど、三田は別格。 どんなに抗ってみても隠しようのない事実。
俺を見つめるこいつから目を逸らすことなんか出来ないんだ。
一瞬にして消える優しい瞳を知っちまったから、乱暴な振りをして本当は泣ける程に純粋な瞳を知っちまったから・・・。
・・・・・・だからこのまま一緒に堕ちて行こう・・・・・・。
                                             おわり。
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本当はエッチまで書こうと思ったのですがしつこくなるのでカットしました。 ちょっとだけ江藤の心理が動いたの伝わりましたかねぇ? しかし、バカップルというよりアホアホコンビだな、こいつら。 一生やってろって感じッスよね〜。 自分で書いててなんですが江藤って女の敵みたいな性格だな。