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課題が終わらなかった悠斗は居残りをさせられたあげく、それでも終わらなかったので、月曜日までに提出する事を条件にやっと帰宅が許された。
ー学校の為に夏紀さんとの逢瀬をだめになんか絶対させるもんか。
そう思って先生に頼み込んだのだ。
金曜日の夜、今日は外で食事をしようと夏紀が言ったのでB全の大きさの袋を肩に下げて、初めて会った場所、いけふくろうを目指していた。
ー重てーな、もう、せっかくのデートだっつうのに。
課題を終わらせなかった自分が悪いのだが、悠斗はそういうことは考えもしない。
やっと着いた人混みの中、悠斗は夏紀の姿を探す。
この前来たときは人を観察していたが、今はただ1人を見付けるのに目が動く。
ーあ、いたいた。
人の隙間から夏紀が見えた。
悠斗が手を振ったが夏紀は気付かない様子だった。
近づいてみると、携帯を耳にあてて、誰かと話をしている。
「・・・ええ、そうですが・・・え・・・?今からですか?・・・それはちょっと・・・いえ・・・わかりました。・・・はあ・・・では後ほど・・・失礼致します・・・。」
夏紀はそう言って携帯を切った。
「なあ、今の誰?」
「わっ、悠斗くん、ごめん、気付かなかった。」
目の前にいきなり顔を覗かせたので、夏紀は驚いている。
「誰から?」
そう悠斗が聞くと、夏紀は焦った様に、
「あ・・・今のね、会社のクライアントなんだ・・・。でね・・・」
何かを言いづらそうに躊躇している。
悠斗もさっきの言葉が気になって仕方ない。
「何だよ?」
予感はしていたが、本人の口から言い出すまで自分からは言い出したくない、と悠斗は思った。
「ごめんっ。・・・お客さんが今から打ち合わせしたいって言うんだよ。」
夏紀はすまなそうに謝ってきた。
「今日じゃなきゃだめなの?」
悠斗は責めるように夏紀を見つめる。
「明日までに書類を作らなきゃいけないらしくて・・・僕が行かないと、先に進めないらしいんだ。」
ー俺なんかムリヤリ夏紀さんに会う為に、先生を口説き落としたのに・・・。
夏紀は下を向いて、悠斗の答えを待っていた。
「・・・わかった・・・しょうがないよな、仕事じゃ。」
夏紀は顔を上げて、悠斗を見つめ返した。
「本当にごめんね、そのかわり」
「そのかわり、俺もついてく。」
「え!?」
これにはさすがの夏紀も目を丸くさせた。
まさかそんな答えが返ってくるとは思いもしなかったからだ。
「俺との約束が先なんだから、俺が行くのは当然の権利だよな。」
悠斗はさも当たり前の様に言った。
無茶苦茶な理論なのは充分解っているが、悠斗は腹を立てていたのだ。
ー夏紀さんと俺の邪魔する奴の顔、見てやらなきゃ気がすまねー。

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