〜先生の視点・3〜
部活が終わって机の上で考え込む。
そりゃあ、告白されて嬉しかったさ、それは素直に認めよう。
断っても断ってもめげないあいつを、迷惑がりながらもくすぐったいような心地よさがあったことも認めよう。
だからって相手は高校1年の男子生徒だぞ、俺より1回りも違う健康優良児だぞ、去年まで中学生だったんだぞ。
俺にどうしろって言うんだよ?
「カベちゃん……」
ああ、あいつの幻聴まで聞こえてくる、俺を責めてるのか?
「カベちゃんてば」
ハッとして振り向くと本物の西尾が立っていた。 1週間しか顔を見ていなかったのに懐かしさがこみ上げてくる。
何てこった。
「……西尾……お前……」
「俺さ……ずっと考えてたんだ。」
思い詰めた表情がそれを物語っている。 でもそれを受け入れる勇気が俺にあるのか?
「どうやったらカベちゃんを諦められるのかなって……でもやっぱ無理みたいなんだ」
「……だから、俺はお前に……」
なんつーダメ教師だ。 俺はこの目の前の生徒が可愛いと思い始めてしまった。
「解ってるよ、だから……1回だけ……1回だけでいいからキスしてくんない? そしたら俺すっぱり諦めるからさ……」
ううっ、やばい、やばいぞ。 そんな目で俺を見ないでくれー。
一旦心を落ち着かせよう。 はい、深呼吸して、吸って〜、吐いて〜。
「鍵、締めろ」
ああっ! 俺は何を言ってるんだ? 勝手に口がしゃべってるー。
西尾は素直に準備室と美術室の間の鍵を縦から横にしてガチャッと音が響いた。
ゆっくりと近づいてくるこいつは何ていうか……やっぱり……。
フーッと1つ息を吐いて椅子に座ってる俺の目の前に立つ西尾に言った。
「……俺は大人だからな、どんなことになっても後悔しないんだな?」
ごくりと西尾の喉が鳴る。 自分から誘ったくせに緊張しやがって。
「うん……」
「絶対に他言無用に出来るな?」
「うん」
この俺を見つめる汚れを知らない純粋な瞳は間違いない、確信しちまったぞ。
「お前……初めてなんだろう?」
かぁっと西尾の顔が一瞬にして真っ赤になった。 ……やっぱりな。
あんなに凄いアプローチをしてきたからさぞや色んなことやってきたかと思えば、まだキスもしたことのない純情な若者だったか。
俺ってば教師のくせにチェリーくんを食おうとしちゃってるってことか?
くっそー、せめて1回くらい経験しててくれた方がやりやすかった。
俺が椅子から立ち上がって西尾の唇に近づくと、それが震えてるのが手に取るように解る。
ぎゅっと固く目をつぶって俺のキスを待ってるこいつが可愛い。
ふうっと触れるとビクッと身体が硬直してる。 あ〜あ、これで俺も変態教師の仲間入りだ。 万歳こんちくしょう!
でもキスなんて久し振りだよなぁ、ん〜、感触が気持ちいい。
西尾は上気していて男のくせに、童貞のくせに色気ムンムンだし。
男に欲情しないなんて、嘘だった。 俺のモノは既に半勃ちで早くと下から騒いでいる。 そんなに急かさないでくれ、ムスコよ。
「口、開けよ」
え? と言って開いた口に舌を滑り込ませると、びっくりしたように俺にしがみついてくる。
怖いか? でもお前が望んだんだぞ。 俺に……こうして欲しかったんだろう?
「んっ……」
雑誌やら邪魔な物を下にどさっと落として、そのまま机の上に押し倒すと西尾は息苦しそうに喘ぐ。
「カ……カベちゃん……」
くそう、可愛いぞ、西尾。
「鼻で息すれば苦しくならないからな」
「うん……。 なあ、俺と付き合ってくれんの……?」
この期に及んでそんなこと言い出すこいつに思わず吹き出してしまった。
「今更……お前ってやつは……」
深いキスの余韻でまだ西尾は夢見心地でぼうっとしていて、それがまた俺を元気にさせやがるっ。
「だって……」
「しょうがないからお前と付き合ってやる」
「本当……? カベちゃんが俺の恋人?」
こら〜、そんな可愛い顔するんじゃなーい! 自制が効かなくなっちまうだろうが。
恋人でもなんでもなってやるから、その顔止めろ〜!
「こんなにしつこい奴、初めてだからな。 それに俺の夢は生徒とチャンスがあればやることだしな」
ニッと笑ってやる。 これで完全に俺のペースだ。
「……何かどっかのスケベオヤジみたい……」
「言ってくれるじゃないか。 そうさせてるのは誰なんだよ?」
「俺、カベちゃんを欲情させてんの?」
その質問は下半身を密着させて答えた。
「……あ……先生……」
おお、「先生」とこの体勢で呼ばれると何てエッチっぽく聞こえるんだ。 俺の望んでいたのはこれだったのか。
これからセックスの時は先生と呼ばせようと密かに決定した。
西尾のシャツをたくし上げてつん、と立っている2つの突起から1つをつまむと「やっ……」と声を上げてのけぞる。 これがもっと膨らんでいたら良かったのに、って思うのは罪?
まだ完全に出来上がっていない身体は、がっちりしてそうでそうでもなかった。 ふ、やっぱりまだまだ青いな、若造よ。
ほんのり染まった肌が吸い付くように唇を誘う。 滑らかなそれはまるで絹のよう。
西尾は震え怯えている。 初めての快感を恐怖と感じているのかもしれない。優しく額を撫でてやると、それまで瞑っていた瞳がうっすら開く。
「大丈夫だから……どうして欲しいか言ってみな。 ん?」
くはー、俺ってばおっとな〜。 ここはやはり経験豊富な俺がリードしてやらねば。
「……っかんない……解んないっ……」
すすり泣きのような西尾の声はそりゃーもー、やらしいのなんのって。 ああ、段々変態じみてきた。
「そうだよな、じゃあ、俺に身体を預けられるよな?」
コクコクと頷くと緊張の為か汗がぶわっと飛び散る。
こいつは俺のなすがまま、腕を俺の首にまわして何かを掴んでないといられないようだ。
胸に触れていた指をすうっと下半身に滑らせると、ビクビクとこれから始まる行為に身体を強ばらせている。
初いやつ。 昔バージンを俺にくれた女の子を思い出した。 最初はみんなこんなに震えるもんなんだろうか?
ディープキスをしながら両手でカチャカチャと西尾のベルトを外してズボンを引きずり下ろすと、大漁とでっかく描かれたトランクスが出現して、プッと笑った。
何だ、これ? こんな柄のトランクスが今時売ってるのか?
「そ……それっ……お袋が……」
恥ずかしそうに西尾が手をトランクスに持って来ようとするのを左手でぐいっと押し上げた。
「せ……先生……やだ……」
羞恥な感情は快楽に大事なプロセスなんだぞ、簡単にお前の好きにはさせない。
とりあえず布の上からなぞってみるとするか。
まさかこの年になって自分以外の男の勲章を触るはめになるなんて思ってもみなかった。
学生時代にふざけて友達のを握ったことはあっても、勃ったそれを触るなんて、ましてや扱くなんて今までの俺の辞書にはない。 仕方ないからこれから追加してやるよ。
おいっ、お前のムスコ、使ったことないくせに立派じゃないか。 ……もしかして俺のよりでかい? うーむ……納得できん。
布伝いにでも解る反り返った代物の先っぽがトランクスに染みを滲ませていた。
「あーあ、汚れちゃってるぞ、そんなに俺にして欲しいのか?」
「んーっ……やっ……あ……」
もう西尾の顔はこれ以上耐えられないといった感じで真っ赤になっている。
しっかし、男でも責められるとそんな風に啼くんだなぁ。 とか変に感心してしまった。
「俺に触って欲しいか? 西尾。 自分で言ってみな」
「あっ…………・はぁっ……って……」
「聞こえないぞ、ちゃんと言え」
「……さわっ……て……せんせ……えぇ」
ありゃ、こいつ泣いちゃってるよ、ちょっと虐めすぎちゃったか? ん〜、よしよし、変わりに気持ちよくさせてやるからな。
西尾のトランクスを膝まで下ろしてピクピクと痙攣のように、待ちきれなくなったそれを握って上下に扱くとそれに合わせて「ああん」と喘がれる。
「いいか? 西尾、気持ちいいか?」
「も……う……おかしくなるっ……やだ……あっあっ」
何て声を出すんだよ、こいつ、本当に男か? いや、しっかり男だけど。
それにしても俺ってさっきまでこんなことするつもり毛頭なかったはずなのに、西尾を啼かせて、しかもそれに何で興奮してんだろう?
いつだったかこんな感じのAVを見たことあったよなぁ。 タイトル何だったっけ?
女子高生が教師に調教されるとかそんな感じの内容だったよな。 おお、今の状況ってそのまんまじゃんか。 相手は男子だけど、まあ、固いことは言いっこなしだ。
「もう、イクか? イキたいか?」
「んっ……も……俺、ダメ……」
それじゃ、もっとスピード上げるか、そろそろ俺も入れたいしな。
あれ? 入れるってどこに? 本来ある場所に穴がないってことは、残る穴は1つ。
やっぱり尻? そんなとこに俺のマグナムが入るのか? ああ、普通はそういう場合って潤滑剤とか使うのか。
……そんなのないぞ! 嘘だろう? ここまで来て俺は入れないまま終わるのかー?
ん? ちょっと待てよ、ここは美術準備室、いいのがあるじゃないかぁ。
そうそう油絵の具を洗う油。 未使用を使えば大丈夫だよな、たぶん。
俺がそんなことを思ってニヤリとほくそ笑んでる間に、西尾は
「いっ…………い……くっ……あっ」
と元気よく、まるで噴水のように精液を飛ばした。
うおっ、もう少しで顔に掛かるところだった、あぶねー。 ああっ、手に付いたっ、よく見ると床にもべったり付いてるしっ。
「ご……ごめん……いっぱい出しちゃった……」
「いいさ、それより今度は俺の番だからな」
「や……やっぱり痛いかな……?」
怖々訊いて来られてもなぁ、そんな経験ないから解らないっつーの。
ってこいつそんなこと良く知ってるよな、やっぱり単なるホモじゃないのか?
「痛くないようにしてやるから待ってろよ」
そう言って俺は新しい油を探し始めた。
確かこの辺に置いてあった気がするんだけど。 何処いったっけ?
うーん、こうなったら使い古しでもいいかなぁ? とか俺がガサゴソやっていたらいきなりドンドンとドアを叩く音が聞こえた。
「日下部先生! いるんでしょう? 開けて下さいっ!」
げげー!! 横山だ! 何でこんな時に来るんだよー!?
やばいっ、こんなとこ見られたら一貫の終わりだー!!
俺は慌ててそこら辺にあった絵の具の付いた布を西尾に放り投げた。
「これで汚したとこ拭いておけっ」
「え〜? こんなばっちいので拭くのかよ?」
と文句を言いやがっている。
「贅沢言うなっ、早く拭けってば」
西尾は「最悪〜」とかぶつぶつ言いながら自分自身を拭いている。
「西尾くんも一緒なんですね? 鍵なんか閉めて2人で何やってるんですか!?」
さっきから怒声と激しい音が部屋中に響いてドアが壊れそうだぞ。
それより入れる気満々だった俺のムスコ、どーしてくれんだよーっ!
辛すぎるっ。 くくっ。
西尾はいいよなっ、俺が抜いてやったんだから。 ちっくしょー、さっさと突っ込めばよかったぜ。
「カベちゃん、横山のやつうるせーから開けるよ」
「あ……ああ……」
西尾が鍵を開けると、勢いよく横山が入ってきて、その右眉がひくっと痙攣している。
「な……何ですか? 横山先生。」
「どうして鍵なんか掛けてたんです?」
ぎろっと睨まれ、普段優男だったやつが怒ると怖いと思った。 ひ〜っ。
「ちょっと西尾に相談を持ちかけられまして……」
「何の話で?」
何て言い訳しようか迷ってると、俺の変わりに西尾が答えた。
「何って……ナニ?」
このっ、ばっかやろーっ! 何てこと言い出すんだー! 語尾を上げるなーっ!
横山に対してその勝ち誇った顔は止めろーっ!
ああっ、また2人の間にバチバチッと火花が散ってるっ。 しかもこの前より1.5倍増しだ!!
「あ……あの……部活のことで……」
って2人とも俺の話しぜ〜んぜん聞いてないしっ!!
無神論者の俺だけど今だけは神様信じます!だから ヘルプ・ミ〜!!
〜えんど〜
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何故か無性にコメディーが書きたくなったものです。カベちゃんは先生っぽくないですけど、こういう先生っていたよね?タメ口きかれてた人って。
しかし、先生がこんな簡単に生徒に落とされていいもんだろうか?ま、それはフィクションということでお許し下さい(^^;) しかし、横山は何者だよ。と自分で思ったり。
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